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【研修受講生インタビュー】~第2弾~

不動産の枠を超え、経営者の視座へ。三菱地所・小澤氏が語る「次世代リーダー研修」の真価

三菱地所株式会社 経理部 事業会計ユニット 小澤様

三菱地所の経理部門において、国内アセットの会計・税務処理を現場に近い立ち位置で担当し、グループ全体に影響をおよぼす「新リース会計基準導入プロジェクト」の責任者という重責を担う小澤様。キャリア採用で入社し、海外勤務も経験した「経理のプロ」である彼が、なぜ、1年間にわたる「次世代経営リーダー育成プログラム」に身を投じたのか。
そこには、プロフェッショナルゆえの「停滞感」への危機感と、プログラムを通じて得た「ハツラツとした日々」がありました。研修を終えた今、彼が見つめる景色はどう変わったのか、その深層を伺いました。

――まずは、今回の研修に参加されることになった背景を詳しく教えてください。

小澤氏:

きっかけは、上司であるCFOからの直接の推薦でした。いわば「一本釣り」のような形での指名でしたので、会社からの期待をダイレクトに感じ、身が引き締まる思いでした。

当時の私は、海外勤務から帰任して数年が経ち、経理・会計のプロとして実務の全体像が掌握できているという自負がありました。しかし、その「見えてしまっている」状況こそが、自分の中に静かな「停滞感」を生んでいたのです。日々の業務は非常に多忙ですが、どこか既視感がある。自分はこのまま、この場所だけの専門家で終わっていいのかという、言語化しがたい悶々とした思いを抱えていました。

そんな折に提示されたのが「次世代経営リーダー」という言葉、そして「イノベーション」というテーマでした。不動産業界の常識に縛られず、経営という抽象度の高い視点から自分を見つめ直したい。その直感が、私を二つ返事での快諾へと突き動かしました。

――プログラムでは多才な講師陣が登壇されましたが、特に心を揺さぶられた講義は何でしたか?

小澤氏:

まず、全体監修の竹中平蔵先生ですね。実は私、学生時代に竹中先生のゼミとインゼミ(合同ゼミ)を行ったことがあり、当時の私にとって先生は雲の上の憧れの存在でした。それから数十年を経て、今度は次世代のリーダー候補として直接ご意見を伺える機会を得たことは、感動もありました。先生の理論的な合理主義、そして批判を恐れない胆力を間近で感じられたのは、大きな財産です。

そして、元ソニー社長の平井一夫さんの講義には、圧倒的な熱量で魅了されました(笑)。平井さんが語られた「部下は上司にIQの高さではなく、EQ(心の知能指数)を求めている」という言葉は、テクニカルな正解を求めがちな経理パーソンとしての私の心を激しく揺さぶりました。

「忙しいから後で」と部下の相談を後回しにしていないか、対話の際に相手の目を見て、その心の動きを感じ取れているか。経営とは、最後は「人」を動かすことであるという本質を、アーカイブ動画では決して伝わらない、ライブならではの「熱量」とともに叩き込まれました。

――グループワークを通じた、他社の受講生との関わりについてはいかがでしたか?

小澤氏:

これこそが、この研修の最大の価値だと断言できます。普段の業務でも、三菱地所という立場から同業他社の方々とお会いする機会はありますが、そこにはどうしても「競合」や「取引」といった利害関係が介在します。しかし、今回の研修で普段中々接点を持つことがない不動産会社の方々とも肩を並べ、フラットに議論できたことは、業界の常識を相対化する素晴らしい機会となりました。

また、年齢や業種の壁を超えた出会いも刺激的でした。受講生は皆優秀な方々ばかりでしたが、その中でも金融系から派遣された同じグループのメンバーの一人は特に印象に残っています。若く情熱に溢れたビジネスパーソンである彼が提案した事例研究などは、不動産業界のロジックだけで生きている自分一人では、決して辿り着かなかった視点でした。

「イノベーションが真に起きる条件とは何か」という問いに対し、世界各国の事例を徹底的に分析し、多忙なスケジュールの合間を縫って議論を戦わせる。利害関係が一切ない場所で、純粋に「知」だけを武器に競い合う時間は、日々の実務では決して味わえない、最高に贅沢な「大人の学び場」でした。

――1年間のプログラムを経て、ご自身の内面にどのような変化が訪れましたか?

小澤氏:

一言で言えば、「視座」の次元が変わりました。これまでは、社長や役員のメッセージを「会社が決めた方針」として受動的に受け取っていました。しかし今は、「なぜ今、トップはこの言葉をチョイスしたのか」「この決断の背後にある、経営者としての葛藤は何だったのか」と、自分自身を経営者の椅子に座らせて考えるクセがつきました。

また、精神的な面でも大きな変化がありました。研修期間中の1年間は、本当に「ハツラツ」とした毎日だったのです。月1回の講義はもちろん、発表前の数か月間は週に数回のグループワークに向けて、関連書籍を読み漁り、知識を補完していく。業務がどんなに忙しくても、この「学びのサイクル」が自分を活性化させるエンジンになり、結果として本業のパフォーマンスも向上するという好循環が生まれました。

「経理のプロフェッショナル」という枠を超えて、「一人の経営人人財」として社会とどう向き合うか。その問いを常に持ち続けられるようになったことが、この研修が私にくれた最大の変化です。

――最後に、社員の派遣を検討している人事担当者の方々へアドバイスをお願いします。

小澤氏:

このプログラムは、単に「知識を詰め込む研修」ではありません。社員の「マインドセット」を根底から変え、魂に火を灯すためのプロセスです。特に「次世代経営リーダー」という冠がついたプログラムに指名されることは、選ばれた社員にとって「会社から未来を託された」という強烈なアイデンティティになります。その誇りが、人を大きく成長させるのです。

ただ、人事の方に強くお伝えしたいのは、「送り出した後」のフォローの重要性です。研修を「受けっぱなし」にさせず、受講生が学んだことを役員に報告する場を作ったり、その変化を適切にフィードバックしたりすること。その「一手間」があるだけで、受講生のコミットメントは数倍に跳ね上がります。

私自身、この1年半で築いたネットワークと、極限まで高めた視座は、今後のキャリアにおける一生の武器になると確信しています。変化を恐れず、会社を牽引していく覚悟を持つ人財を育てるために、これほど最適な場所はありません。