弊社代表取締役社長藤田勉のコラム「原油⾼でも世界的なAIバブル相場は続くリスクは⾦利上昇」が日経ヴェリタスに掲載されました。 | 株式会社ストラテジー・アドバイザーズ

コラム

弊社代表取締役社長藤田勉のコラム「原油⾼でも世界的なAIバブル相場は続くリスクは⾦利上昇」が日経ヴェリタスに掲載されました。 

今年2⽉28⽇に始まった⽶国とイスラエルによるイランの軍事衝突は⻑期化している。4⽉7⽇に停戦⼊りしたが、双⽅が海上封鎖を実施しており、原油価格は⾼⽌まったままである。しかし、戦闘⻑期化にもかかわらず、世界の株式市場が史上最⾼値を連⽇更新している。そこで、これらの理由を分析する。 

⽶国ドナルド・トランプ⼤統領がイラン攻撃は短期に収束するとの⾒通しを何度も⽰したが、想定以上に⻑期化している。今年4⽉28⽇に議会証⾔でスコット・ベッセント財務⻑官は「⽶軍による海上封鎖によってイランの原油⽣産はまもなく停⽌する」と述べたが、1カ⽉以上たってもイランが特段困った様⼦はない。 

エネルギー⼤国である⽶国とイラン双⽅にとって、原油価格⾼⽌まりは恩恵が⼤きい。⽶国の原油と⽯油製品の純輸出は5⽉第3週に合計⽇量560万バレルと2025年の400万バレルから急増した(出所:EIA)。 

⽶国は海上封鎖していると⾔うが、イランの⽣産量は2⽉の324万バレルから4⽉の285万バレルと12%減にとどまる。原油価格は年初から2倍近くになっているので、両国の原油収⼊は急増しているものとみられる。 

世界全体の原油⽣産量は⽇量1億バレル弱、世界の貿易量は約7000万バレルである。ホルムズ海峡経由の原油輸送量は約1500万バレル、⽯油製品は約 500万バレルである。⽯油輸出国機構(OPEC)プラスの⽣産量は今年2⽉の 

4277万バレルから4⽉には3319万バレルと958万バレル減少(22%減)した。 

ただし、短期的には各国の国家備蓄放出でしのぎ、4⽉以降は⽶国やロシアなどの⽣産増やホルムズ海峡の迂回ルートなどがある。なお、迂回ルートであるパイプラインの輸送⼒は、サウジアラビア700万バレル、アラブ⾸⻑国連邦150万バレル、イラク・トルコ間100万バレル、イラン(ゴレー・ジャスク間)100万バレル、計1000万バレル前後ある。 

よって、さらなる価格⾼騰は避けられるものとみられる。ただし、将来、国家備蓄の放出分を買い戻さなければならないので、今後も原油価格は⾼ 

⽔準で推移する可能性が⾼い。 

2025年のオイル⽣産量(EIA)は、世界1位の⽶国が2361万バレルと、2位サウジアラビア1121万バレル、3位ロシア1054万バレルを⼤きくしのぐ。軍事衝突⻑期化は、エクソンモービルなどのエネルギー株、GEエアロスペースなどの防衛株の上昇要因でもある。その結果、原油価格上昇にもかかわらず、⽶国の経済と株価は堅調である。 

⽶国経済が堅調である以上、原油価格上昇がエヌビディアやアルファベットなど⼈⼯知能(AI)関連株の業績に悪影響を与えるとは考えにくい。よって、AIや半導体関連株主導での世界の株式相場の上昇持続が予想され る。 

かつて、1973年の第⼀次⽯油危機、1979年の第⼆次⽯油危機、1991年の湾岸戦争、2008年のリーマン危機など、原油価格が急騰すると、⽇本経済や 

⽇本株にとってネガティブであった。当時は、⽇本の時価総額上位企業が電機、⾃動⾞など製造業であったのでコスト上昇の影響が⼤きかった。 

現在、原油価格⾼騰の影響を⼤きく受ける⽇本の時価総額上位企業はトヨタ⾃動⾞のみと⾔っても過⾔であるまい。そして、ソフトバンクグループなどのAI関連株、キオクシアホールディングス東京エレクトロンアドバンテストなどの半導体関連株が⼤きく上昇している。 

さらに、⾦利上昇の恩恵を受けるメガバンク、原油価格上昇の恩恵を受ける商社が上位を占める。円安の恩恵もあることから、⽇本株上昇基調は続くであろう。

⽇本株の最⼤のリスク要因は、財政規律の緩みと、それに起因する⻑期⾦利上昇である。⽇本の10年国債⾦利は2025年3⽉の1.2%から今年5⽉22⽇ 

(以下同)には2.8%まで1.6ポイント上昇した。⼀⽅、⽶国は2025年3⽉の 3.9%から5⽉には4.6%まで0.7ポイント、ドイツは2025年3⽉の2.4%から5⽉には3.0%まで0.6ポイント上昇した。つまり、⽇本の⻑期⾦利上昇幅は⽶国やドイツよりも⼤きい。